18日(金)に9月定例会が閉会しました。
以下、提出された議案に対する討論を行いました。
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それでは、市民派改革ネットを代表して討論を行います。
議案第96号 平成27年度高松市一般会計補正予算(第2号)、議案第98号 平成27年度高松市競輪事業特別会計補正予算(第1号)、議案第102号 市町村の合併の特例に関する法律第5条の4第1項及び第2項の規定に基づく高松市塩江地区地域審議会の設置並びにその組織及び運営に関する協議等により定められた事項の一部を変更する条例の制定について、議案第104号高松市手数料条例の一部改正について、議案第106号高松市個人情報保護条例の一部改正について、議案第107号高松市行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例の制定について、議案第110号 高松市市税条例の一部改正について反対討論を、また、請願第1号 四国電力伊方原子力発電所の過酷事故から高松市民の命と暮らしを守るための対策を求める請願について賛成討論を行います。
まず、マイナンバー制度に関する、議案第96号中、住民基本台帳等事務費3,500万円についてと関連の条例議案第104号、第106号、第107号、第110号についてです。
本年10月以降、住民票を持つすべての人に新たな12桁の個人番号を割り当て、来年1月から希望者に個人番号カードを配布するマイナンバー制度の本格実施が始まろうとしています。 この補正予算は、本庁・市民サービスセンター・支所において、個人番号カードの交付事務を行うためのものですが、これまでの議案審議でも、マイナンバー制度の周知や市民からの相談体制、個人情報の漏えいや不正に使用されることへの十分な対策、職員に対する研修など、国からの情報が遅れていることもありますが、本市の対応は後手に回っているという状況は明らかです。
そんな中、昨日、来年1月からの個人番号カードの配布時に、申請した本人かどうかをカメラで撮影して確認する「顔認証システム」が全国の市区町村に導入されるとの報道がありました。聞くところによると、本市にも導入されるようです。
このようなシステムが全国の自治体に一斉導入されることは初めてで、本人確認を厳しくし、なりすましを防ぐことが目的であっても、顔を撮影されることに抵抗を感じる市民も多くおられることは言うまでもありません。総務省によると、顔認証を本人が拒めば、カードを発行しない可能性もあるとのことです。こんな大事なことが、市民の知らないところで、知らない間に決められています。
また、国が考えるデジタル・デバイド対策であるマイナポータルですが、これは自分の特定個人情報をいつ、誰が、なぜ情報提供したのかを確認できるシステムであり、多くの課題や危険性が指摘されています。さらに危険があるのは、任意代理人による操作を認めているということです。このことについては、議案第106号高松市個人情報保護条例の一部改正にもあらわれています。保有個人情報の開示請求については、法定代理人に加え、委任による代理人にまで開示請求することができるとしています。本来、一般の個人情報より厳格な保護措置を講じるべき特定個人情報の方が、規制がゆるやかになるという矛盾が生じています。
以上のことから、マイナンバー制度そのものについて、各種行政手続きを簡素化し、納税や社会保障で公平性が増すとの期待がある半面、情報流出・不正利用や、監視社会の傾向が強まることへの懸念が払拭されていません。よって、マイナンバー関連議案には反対です。
次に、議案第96号中、G7香川・高松情報通信大臣会合開催支援費3,000万円についてですが、県と2分の1ずつの負担で予算計上しておきながら、その内容についてはこれからという状況では、3,000万円の使い道の審議ができないことから反対です。
次に、議案第96号中、椛川ダム水源地域整備事業費934万円についてです。椛川ダム建設事業は、県が事業主体の国の補助ダムですが、本体工事だけでも400億円以上で、人口減や節水意識の高まりなどによる水需要・供給予測に多くの問題がある中、整備が進められています。ダム建設そのものの必要性が問われており、明確な費用便益分析を行っていない椛川ダム建設事業に反対であることから、補正予算についても反対です。
次に、議案第98号のミッドナイト競輪開催費等7億1,000万円についてですが、観客のいない夜間に競輪を行い、選手を賭けの対象としかみない「ミッドナイト競輪」はスポーツとして健全な発展をも阻害します。そもそも、ギャンブルは刑法で禁じられた行為です。一般会計に繰り入れができているという点だけに公益性があり、「公営ギャンブル」と言われていますが、それがなくなると、単なるギャンブルでしかありません。7億円もの税金を使って、それを助長するようなことには反対です。
次に、議案第102号についてです。合併によるまちづくりプラン―いわゆる建設計画及び合併基本計画の計画期間を延長することに伴い、各地域審議会の設置期間も延長することから制定するもので、それには異論はありません。しかし、地域審議会委員の報酬を、会長は日額、現行の14,200円から9,500円に、副会長・委員は日額12,900円から8,600円に見直すということですが、減額の根拠に対する明確な説明がなく、本市の各種審議会や協議会などの付属機関の委員報酬である日額6,500円と整合性がないことから反対です。
最後に、請願第1号についてです。
原子力規制委員会は5月20日、四国電力伊方3号機が新規制基準に「適合している」とする「審査書案」を取りまとめました。鹿児島県の川内原発に続いて再稼働に向けて動き出しています。
本請願は、伊方原子力発電所で過酷事故が起こった際の具体的対策を市に求めるものです。たとえ再稼働がされても、されなくても、東日本大震災と同等の地震や津波が起これば、3号機だけではなく、老朽化している1、2号機からも放射性物質が漏れることは十分に予測されます。
関東、東北の記録的豪雨による水害、東京湾を震源とする最大震度5弱の地震、阿蘇山の噴火、すべて9月に入ってから起こったことです。想定外のことがおこり得ることを、わたしたちは日々感じているはずです。
危機感を持って備えることは当然です。豪雨、津波、地震、火事、それらに対してはしきりに防災を唱えるにも関わらず、なぜ原子力災害に対しては、対策を講じないのでしょうか。伊方原発で事故が起これば、多くの人々が愛媛県から香川県へ、高松市へと避難してくることも考えられます。現在の地域防災計画は国や県の計画をそのまま掲載しただけで、なにも具体的なことは書かれていません。市民の健康やいのちや暮らしを守るのであれば、具体的対策を講ずるべきです。
伊方原発3号機で使用されているMOX燃料はウラン燃料に比べて強い放射能を帯びており、使用開始前から厳重な管理が必要です。原子炉で使用したあとは、通常のウラン燃料よりも強い放射能になり、放射性廃棄物は何代も先の世代まで、厳重に管理し続けなければなりません。
早明浦ダムが一度放射性物質で汚染されれば、わたしたち高松市民の命の源とも言える水源は絶たれます。活性炭フィルターでいくらか防げるという意見もありますが、完全ではなく、こどもたちに汚染された水を与えることはできません。風向きによっては、市内、県内の多くのため池がホットスポットとして汚染されることも予測されます。
わたしたちは、いつでも最悪の事態を想定し、災害に備えなければなりません。もちろん、再稼働しないに越したことはありませんが、再稼働しても、しなくても、現在伊方原子力発電所には満杯に近い状態で使用済み核燃料が保管されています。わたしたちは現実に目を向けるべきです。市民の命と暮らしを守ることは行政の責務であり、その対策を議会として求めていくべきだと考えます。
よって、請願第1号「四国電力伊方原子力発電所の過酷事故から高松市民の命と暮らしを守るための対策を求める請願」に賛成します。以上で、討論を終わります。